製造業では、同じ「ものをつくる」という活動でも、工場によって生産の進め方が大きく異なります。自動車工場のように同じ製品を次々と組み立てる工場もあれば、顧客ごとに仕様の異なる機械を製造する工場もあります。化学工場では原料を連続的に処理し、造船所では巨大な船を一隻ずつ建造します。
こうした違いを捉える概念が生産形態です。生産形態とは、製品をどの程度の量・種類で、どのような工程や方法によってつくるかという、生産活動の基本的なあり方を指します。
生産形態は、工場の設備配置や作業者の配置だけでなく、生産計画、在庫管理、納期管理、原価、必要な技能、さらには企業の収益性にも影響します。したがって、生産管理を理解するには、まず自社の生産がどのような形態に当たるのかを把握することが重要です。
1. 生産形態には、いくつもの分類軸がある
生産量だけで工場の特徴は決まらない
生産形態を分類する際、最も分かりやすい基準は生産量です。同じ製品を大量につくるのか、それとも少量ずつつくるのかによって、適した設備や管理方法が変わります。しかし、生産形態は生産量だけでは決まりません。
例えば、同じ製品を大量につくる工場でも、注文を受ける前に需要を予測して製造する場合と、顧客から注文を受けてから製造する場合では、生産の進め方が異なります。また、工程が順番に並んでいる工場と、加工・溶接・塗装などの機能別に設備が配置された工場では、仕掛品の移動方法や進捗管理の方法が異なります。
生産形態を理解するには、量、品種、用途、生産を開始するきっかけ、工程の配置、時間的な連続性、使用する設備や技術など、複数の視点から見る必要があります。
生産形態を分類する主な視点
| 分類の視点 | 主な形態 | 何が分かるのか |
|---|---|---|
| 生産量 | 大量生産・中量生産・少量生産 | どの程度の量をつくるのか |
| 品種数 | 少品種生産・中品種生産・多品種生産 | 製品の種類をどの程度扱うのか |
| 用途 | 消費財生産・生産財生産 | 誰が何のために使用する製品か |
| 生産開始のきっかけ | 見込生産・注文生産 | 需要予測と注文のどちらを基準に製造するか |
| 工程の配置 | 流れ生産・機能別生産・固定生産 | 設備や作業者、製品をどう配置するか |
| 時間的な連続性 | 連続生産・断続生産・個別生産 | 生産が途切れずに進むか、一定量ごとに切り替わるか |
| 生産手段 | 機械生産・装置生産・手工生産 | どのような設備や技能でつくるのか |
| 製品の変換方法 | 加工生産・組立生産・プロセス生産 | 原材料をどのように製品へ変えるのか |
| 生産規模・投入要素 | 大規模・中規模・小規模、設備集約型・労働集約型など | どの程度の規模で、何に大きく依存して生産するのか |
これらの分類は、互いに排他的なものではありません。ある工場は「大量生産」であると同時に「少品種生産」「見込生産」「流れ生産」であることがあります。つまり、一つの工場を理解するには、複数の分類を組み合わせる必要があります。
実際の製造業では、生産形態が工場全体で一つに統一されているとも限りません。例えば、自動車工場では最終組立工程が流れ生産であっても、部品を加工する工程では一定量ごとに生産する断続生産が行われることがあります。工場全体を一つの型に当てはめるだけでは、現場の実態を十分に理解できないのです。
2. 大量生産――同じものを効率よくつくる
大量生産の本質は、生産量と生産速度にある
大量生産とは、特定の製品を大量につくる生産形態です。ただし、どこからを大量生産と呼ぶかについて、すべての産業に共通する明確な数量基準があるわけではありません。累計の生産量で見ることもできますが、生産管理の観点では、月間や年間など一定期間にどれだけ生産できるかが重要になります。
大量生産の目的は、単に工場に大量の製品を並べることではありません。一定の条件のもとで生産速度を高め、製品一つ当たりの費用を抑え、設備や労働力を効率よく利用することにあります。
例えば、同じ部品を一日数十個つくる工場と、専用設備を使って一日に数万個つくる工場では、設備の構成も作業方法も大きく異なります。後者では、材料の供給、加工、検査、搬送などの工程を標準化し、同じ作業を繰り返し効率よく進められるようにします。
少品種化と分業が生産速度を高める
大量生産では、製品の種類をある程度限定し、設備や作業者が特定の作業に集中できるようにすることが重要です。作業を細かく分け、各工程に適した設備や技能を割り当てれば、作業の習熟が進み、処理速度を高めやすくなります。
また、同じ部品を大量に加工する場合には、専用の治具や自動設備を導入しやすくなります。段取り替えの回数を減らし、作業手順を標準化できるため、製品一つ当たりの生産時間や費用を抑えやすくなります。
しかし、こうした効率化には代償もあります。設備や作業者を特定の作業に特化させるほど、別の製品への切り替えが難しくなります。顧客が求める仕様が多様化しても、すぐに製品の種類や生産量を変えられないことがあるのです。
さらに、作業が単純で反復的になりすぎると、仕事への意欲や仕事の意味を感じにくくなる問題も生じます。大量生産の効率を高めるには、設備だけでなく、作業者の技能形成や仕事の設計にも配慮しなければなりません。
大量生産は、需要があって初めて成立する
大量生産を行うには、つくった製品を大量に販売できる市場が必要です。需要が小さい製品を大量につくれば、売れ残りが増え、在庫や資金繰りの問題が生じます。
そのため、大量生産では、標準化された部品や広く普及した消費財など、多くの顧客が共通して必要とする製品が適しています。需要がある程度予測できることも重要です。
ただし、需要は常に一定とは限りません。生産計画を立てる段階では売れると予測していても、実際の販売が予測を下回ることがあります。大量生産は、生産速度や原価の面で大きな利点を持つ一方、需要予測を誤った場合には、大量の在庫や設備の遊休化を招く危険があります。
見込生産と流れ生産・連続生産
大量生産と結びつきやすい形態が、見込生産、流れ生産、連続生産です。ただし、これらはそれぞれ異なる分類軸に属する概念であり、同じ意味ではありません。
見込生産は、顧客からの個別注文を受ける前に、需要を予測して製造を始める方法です。流れ生産は、製造工程を順序よく配置し、製品や仕掛品が工程間を流れるように進める方法です。連続生産は、時間的に途切れず、または継続的に製品を生み出すことを重視する形態です。
流れ生産と連続生産は大量生産で組み合わせて用いられることが多いものの、厳密には同じではありません。工程が順序よく並んでいても、段取り替えや品種切り替えのために生産が中断することがあります。また、化学工場などの装置工業では、原料を連続的に処理して製品を生み出す仕組みが特に重要になります。
大量生産の利点は、生産速度だけでなく、工程や設備の稼働を計画的に管理しやすいことにもあります。一方で、需要変動に対応するためには、生産量の調整や在庫の管理が欠かせません。
3. 少量生産――多様な注文に柔軟に応える
特殊な製品や多様な仕様に対応する
少量生産は、大量生産のように同じ製品を大量につくるのではなく、比較的少ない数量の製品を製造する形態です。造船、大型設備、特殊な産業機械、顧客ごとに仕様が異なる装置などが典型的な例になります。
こうした製品は、顧客の用途や設置環境に合わせて設計されることが多く、製品ごとに必要な材料、加工方法、作業工程が異なります。そのため、製造方法を完全に標準化することは難しくなります。
少量生産の工場では、さまざまな種類の製品を扱うことで事業全体の仕事量を確保する必要があります。一つの製品だけを少量つくるのではなく、複数の製品や注文を組み合わせて工場を運営するのです。
例えば、工作機械を製造する企業では、顧客によって加工対象や必要な精度、設置スペース、自動化の程度が異なることがあります。標準機をそのまま販売するのではなく、顧客の要望に合わせて仕様を変更する場合もあります。こうした仕事では、単純に同じ作業を繰り返すよりも、設計変更や工程の組み替えに対応できる能力が重要になります。
注文生産によって在庫リスクを抑える
少量生産では、特殊な製品の需要を正確に予測することが難しいため、注文を受けてから製造する注文生産が適しています。顧客の注文や仕様が確定してから生産を開始するため、需要予測だけを頼りに大量の完成品をつくる必要がありません。
この方法には、売れ残りによる完成品在庫のリスクを抑えやすいという利点があります。顧客の注文に応じてつくるため、製造した製品の販売先があらかじめ決まっている場合が多いからです。
ただし、注文生産であれば経営上のリスクがなくなるわけではありません。注文を安定的に獲得できなければ、設備や人材を十分に活用できません。また、受注してから納品するまでの期間が長くなれば、顧客の要求する納期に応えられない可能性もあります。
さらに、仕様の変更や設計のやり直しが発生すれば、材料費や作業時間が増加します。受注金額が大きくても、設計や製造に予想以上の費用がかかれば、利益が小さくなることもあります。
少量生産では、注文を獲得する営業力だけでなく、製品ごとの原価を把握し、納期と製造能力を調整する管理能力が必要です。
固定生産・機能別生産・流れ形式機能別生産
少量生産では、製品ごとに工程や作業場所が異なるため、大量生産のようにすべての設備を一つの流れに沿って配置することが難しくなります。そのため、製品や工程の性質に応じて、いくつかの設備配置の方法が使われます。
固定生産(プロジェクト形式生産)
製品を特定の場所に固定し、必要な設備や材料、作業者をその場所へ移動させて製造します。大型船舶や大規模なプラント建設のように、製品自体を移動させることが難しい場合に適しています。一方、作業場所の調整や設備・人員の移動が必要となるため、生産効率の管理が難しくなります。
機能別生産(ジョブショップ生産)
切削、研削、溶接など、同じ機能を持つ設備や作業者をまとめて配置します。製品や部品は、必要な加工に応じて各工程を移動します。多様な製品に対応しやすい反面、製品ごとに通過する工程や順序が異なるため、運搬や日程調整が複雑になりやすい形態です。
流れ形式機能別生産(フロージョブショップ生産)
機能別に設備を配置しながらも、製品群に共通する工程については、ある程度順序よく配置します。多様な製品に対応する柔軟性を維持しつつ、工程間の移動や待ち時間を減らすことを目指します。
これらの形態に共通する課題は、製品ごとに異なる工程をどのように効率よく組み合わせるかという点です。少量生産では、すべての製品を大量生産と同じ方法で流すことはできません。しかし、工程や作業の共通部分を見つけて整理すれば、少量生産であっても効率を高められます。
少量生産の強みは、柔軟性にある
少量生産は、大量生産と比べて標準化や自動化を進めにくく、計画や進捗の管理に多くの手間がかかります。しかし、需要の変化や顧客の個別要求に対応しやすいという大きな強みがあります。
大量生産では、設備の能力や製品仕様が固定されるほど効率を高めやすくなりますが、その分だけ変更に弱くなります。少量生産では、設備や作業者の役割を変更しやすく、異なる製品や仕様に対応しやすくなります。
つまり、少量生産は単に生産量が少ない形態なのではありません。多様な製品を扱い、個別の要求に応える能力を重視する生産形態でもあります。
ただし、柔軟性を確保するには、作業者の技能、工程に関する知識、設計と製造の連携などが欠かせません。設備を切り替えられても、それを扱える人材がいなければ、柔軟な生産は実現できないからです。
4. 中量生産――効率と柔軟性の両立を目指す
大量生産と少量生産の中間にある形態
中量生産は、大量生産と少量生産の中間に位置する形態です。大量生産のように一種類の製品を途切れなくつくるには量が足りない一方、製品ごとに完全に個別の工程を組むほど少量でもない場合に適しています。
例えば、複数の機種を製造する機械メーカーでは、機種ごとに一定数量の部品をまとめて加工し、次の機種の部品へ切り替えることがあります。製品の種類が複数あるため、すべてを同じ流れで連続生産することは難しいものの、一定数量をまとめて生産すれば、段取り替えや設備稼働の効率を改善できます。
中量生産の特徴は、単に生産量が中間的であることだけではありません。複数の製品を一定量ずつ生産しながら、設備や作業者をできるだけ効率的に活用する点にあります。
断続生産――一定量ごとに製品を切り替える
中量生産と特に結びつきが深いのが、断続生産です。断続生産は、ある製品や部品を一定量だけ製造した後、いったん生産を切り替え、次に別の製品や部品を一定量製造する方法です。ロット生産、バッチ生産、組別生産などの呼び方が用いられます。
例えば、工場で製品Aの部品を500個製造した後、設備を切り替えて製品Bの部品を300個製造し、その後に製品Cの部品を製造するとします。この場合、製品ごとに生産をまとめることで、個々の製品を一つずつ切り替えて製造するよりも、段取りの負担を抑えやすくなります。
しかし、ロットを大きくしすぎると、需要が少ない製品の在庫が増える可能性があります。逆にロットを小さくしすぎると、設備の段取り替えや準備作業が頻繁になり、生産効率が低下することがあります。
そのため、断続生産では、どの製品をどれだけまとめて製造するかが重要になります。生産量、需要、設備能力、段取り時間、在庫の負担などを考慮しながら、適切なロットを決めなければなりません。
中量生産は大企業でも重要である
中量生産は、中規模の工場や中小企業だけに関係するものではありません。大企業の工場でも、製品の最終組立は大量生産で行い、その前段階にある部品加工では断続生産を行うことがあります。
自動車のような大量生産品でも、すべての部品が同じ速度で連続的に生産されるわけではありません。部品によって需要量や加工工程、設備能力が異なるため、部品加工ではロットごとの生産が適している場合があります。
このように、一つの製品を完成させるまでに、異なる生産形態が組み合わされることは珍しくありません。生産管理では、工場全体を単一の形態として見るだけでなく、工程ごとの生産形態を理解し、それぞれを調整することが重要になります。
中量生産の難しさは、管理の複雑さにある
中量生産は、大量生産ほど単純に標準化できず、少量生産ほど個別対応に集中することもできません。複数の製品を扱うため、生産順序やロットの大きさ、設備の段取り替え、仕掛品の在庫などを総合的に管理する必要があります。
例えば、ある製品の部品をまとめて製造すれば、加工工程の効率は高まるかもしれません。しかし、その部品を使う組立工程の予定と合わなければ、完成まで長い時間待つことになります。反対に、組立工程の要求に合わせて小刻みに製造すれば、加工設備の段取り替えが増える可能性があります。
つまり、中量生産では、個々の工程の効率だけを追求するのではなく、工場全体の流れを考える必要があります。設備の稼働率を高めることと、必要な製品を必要な時期に供給することの間で、適切なバランスを取ることが求められるのです。
5. 大量・少量・中量生産を比較する
三つの生産形態は、それぞれ異なる利点と課題を持っています。重要なのは、どれか一つが常に優れているわけではないという点です。製品の需要、品種数、顧客の要求、技術、設備、資金などの条件によって、適切な形態が変わります。
| 比較項目 | 大量生産 | 少量生産 | 中量生産 |
|---|---|---|---|
| 生産量 | 多い | 少ない | 中間的 |
| 製品の種類 | 少品種になりやすい | 多品種になりやすい | 中品種になりやすい |
| 主な生産方式 | 見込生産、流れ生産、連続生産など | 注文生産、個別生産など | 断続生産、ロット生産など |
| 設備・作業の特徴 | 専用化・標準化しやすい | 多様な作業に対応できる柔軟性が重要 | 共通化と切り替えの両立が重要 |
| 主な利点 | 高い生産性、低い単位原価を目指しやすい | 個別の要求や多様な需要に対応しやすい | 効率と品種対応力のバランスを取りやすい |
| 主な課題 | 需要変動への対応、在庫、設備投資の負担 | 工程管理や納期管理の複雑さ | ロット、段取り、仕掛品、工程間の調整 |
| 典型的な例 | 標準部品、大衆向け製品 | 特殊機械、受注設備、大型製品 | 複数機種の部品、一定量ごとの加工品 |
この比較から分かるのは、生産形態の選択が、効率性と柔軟性のバランスに深く関わっているということです。
大量生産は効率を高めやすい一方、仕様変更や需要の変化に対応しにくくなることがあります。少量生産は顧客の要求に応えやすい一方、標準化や計画化が難しくなります。中量生産は両者の利点を組み合わせられますが、その分だけ管理が複雑になります。
6. 量的成長から多様化へ――生産形態は時代とともに変わる
大量生産が工業化を支えた理由
工業化の歴史では、大量生産が重要な役割を果たしてきました。多くの人が同じ製品を必要とし、市場が拡大する時代には、製品を標準化し、大量に生産することで、効率を高めることができたからです。
大量生産は、設備投資や分業、工程の標準化を通じて生産速度を高め、製品一つ当たりの費用を抑えることを可能にします。これによって、製品を広く普及させる条件が整い、工業製品が社会生活に浸透していきました。
ただし、大量生産の仕組みは、需要が十分に存在し、ある程度安定していることを前提としています。市場の成長が鈍化したり、顧客の好みが多様化したりすると、同じ製品を大量につくるだけでは需要に対応できなくなります。
多品種少量生産が求められるようになる
生活水準が上がり、製品が広く普及すると、消費者の要求は単純な数量の拡大だけでは満たされなくなります。性能、デザイン、価格、使用目的、個人の好みなど、求められる価値が多様になります。
企業にとっては、製品の種類を増やしながらも、生産性を維持することが重要な課題になります。これが、多品種少量生産や多品種中量生産への関心が高まる背景です。
しかし、多品種少量生産を進めるからといって、大量生産の原則が不要になるわけではありません。製品の共通部品を標準化する、段取り替えを短縮する、工程の共通性を利用するなど、限られた生産量の中でも効率を高める工夫が必要です。
言い換えれば、現代の工業経営では、大量生産の効率性と、少量生産の柔軟性をどう両立させるかが大きな課題になります。
生産形態を組み合わせることが競争力になる
実際の工場では、製品のすべてを同じ方式でつくる必要はありません。需要が大きく共通性の高い部品は大量生産し、顧客ごとに異なる部分は注文に応じて製造するなど、生産形態を組み合わせることができます。
例えば、標準化された部品をあらかじめ大量に製造しておき、顧客の注文に応じて最終的な仕様を組み合わせる方法であれば、すべてを受注後に製造するよりも納期を短縮できる可能性があります。一方で、完成品を大量につくり置きする場合と比べて、顧客の要求に合わせやすくなります。
このような考え方では、製品のどの部分を標準化し、どの部分を個別対応にするかが重要です。標準化しすぎれば顧客の要求に応えにくくなり、個別対応を増やしすぎれば原価や納期の管理が難しくなります。
生産形態の選択は、工場の中だけで決まるものではありません。企業がどの顧客を対象とし、どのような商品価値を提供し、どのような競争をするのかという経営戦略とも結びついています。
7. 生産形態を理解することが、生産管理の出発点になる
生産管理では、需要に応じた製品を、必要な品質で、必要な時期までに、適切な費用で製造することが求められます。しかし、その実現方法は、どのような生産形態を採用しているかによって大きく異なります。
大量生産では、需要予測、設備の稼働率、生産量、在庫の調整が重要になります。少量生産では、注文の確保、個別の工程設計、作業者の技能、納期と原価の管理が重要になります。中量生産では、ロットの設定、段取り替え、製品の生産順序、工程間の調整が大きな課題になります。
同じ「生産効率を高める」という目標でも、改善すべき対象は生産形態によって違います。大量生産の工場であれば、設備の停止時間を減らし、流れを安定させることが重要かもしれません。少量生産の工場であれば、設計情報を共有し、段取り替えを容易にし、作業者が複数の工程に対応できるようにすることが効果的かもしれません。
生産形態を理解することは、単に工場を分類するためではありません。自社の生産に何が適しており、どこに無駄や制約があり、どのような管理方法を採用すべきかを判断するための基礎になります。
そして、最も重要なのは、生産形態を固定的に考えないことです。市場や技術が変われば、適した生産のあり方も変わります。大量生産の効率性を維持しながら、多様な顧客要求に対応する方法を模索することが、工業経営における生産管理の中心的な課題なのです。
